無くなって欲しくないもの 街の喫茶店
先週末、時間があり久しぶりに豊橋の喫茶店に入った。
高校を卒業して時々寄った喫茶店だ。
豊橋は喫茶店が多い街だ。
モーニングで各店が競争している。
初めてこの店に入った時にモーニングを頼んだ。
他の店の定番モーニングのトースト、ゆで卵、サラダではなく、バケットのトーストとマスカットが二つぶだった。
なんだか大人の仲間入りをしたような気がした。
今もその店は変わらぬ大人の雰囲気、いつも誰かの写真が展示され、マスターは白い清潔そうな上衣を着て静かに接客する。
お客さんも長く通っているのだろうお年を召した方が多い。
静かな店なのだ。
この店にたどり着くまでに本屋で文庫本を求めコーヒーを飲みながらを本を読む。
その頃は開高健が好きだった。
たしかコーヒーが180円、ハイライトが120円、文庫本は300円くらいだった。
魚市場で働き、月一度くらいの文化的な時間だった。
チェーン店に押されるのは致し方ないかもしれない。
でも個性豊かな街の喫茶店には頑張ってもらいたい。
一杯のコーヒーとその店の雰囲気が人の人生の一部になる。
そんな仕事ってなかなか無いと思う。
無くなって欲しくないもの、街の書店、そして喫茶店である。