ペルーのおばちゃん
大学時代にお世話になったおばちゃんがいる。
今は少なくなってしまったいわゆる喫茶店のママである。
大学の四年間通い続けた店である。
当時はまだチェーン店の喫茶店は無かった。(私が知らなかっただけかも知れない。)
好きなコーヒーと自分の時間が欲しくて通っていた。
だからあまりまわりの近い連中は連れていったことはない。
今考えるとよくそんな時間があったなと思う。
でも行けば必ず一時間以上、ひょっとしたらそれより長い時間週刊誌を読み、自分の本を読み、黙って座っていた。
大阪出身のおばちゃんは優しかった。
就職が決まり、初めて足を踏み入れる大阪の事を教えてもらった。
豊島区の隣に居た私に親近感のあった都島区はとしまく、ではなくみやこじまであることを教えてもらった。
気の良い人間が多いとも教えてもらった。
それはおばちゃんとの付き合いでわかっていた。
会えば別れがある。
行けば必ずいるおばちゃんと私の居場所は卒業と共に記憶の彼方に行ってしまった。
しかし、なお私の心に残るおばちゃんの喫茶店、コーヒーの香りばかりでない煙草やらがごったになった私に残る匂いの記憶がある。
数少なくなってしまったコーヒーの美味い街の喫茶店、決して無くなって欲しくない。
合気道部同期の佐藤とペルーで
もう一人の幸本とたった三人の同期でした。