梅ガムを噛めば…
近所のスーパーで久しぶりに見つけた梅ガムを、実家に帰る道すがら眠気ざましに噛み続けます。
このガムの匂いで思い出すのは梅仁丹の匂い。
梅仁丹からは金色の仁丹を思い出します。
森下仁丹の株主だけに送られる金色の仁丹です。
某ゼネコン営業駆け出し時代、上司に連れて行かれた大阪の不動産会社の社長室にありました。
住専問題で時の人にもなった社長でした。
その上司、営業部長はもと建築屋のとても紳士な先輩でした。
その昔、後発の建築の足がかりをつけるために会社が裏ワザを使って受注した大阪高等裁判所の初代の所長でした。
三十歳そこそこでの試練だったそうです。
そこで頭の毛が一本残らず抜けてしまい、周りからは死刑台を作ったためだと思われていたが実は皮膚が弱いからだと明かしてくれました。
そして息子さんにアトピーとして受け継がしてしまったともお聞きしました。
その後、御定年を迎えてしばらくの後に急逝されました。
そのお葬式で初めてお会いした息子さんはお言葉の通りアトピーでした。
そしてその赤い顔を見て梅ガムのピンクを思い出していました。
もうそれから二十年以上の時間が過ぎます。
梅ガムを口に詰め込んだ瞬間にその香りとともにいろんな事を思い出しました。
香りに絡まり出てくる記憶、人間の脳って不思議です。
私は梅ガムが好きです。