京都の北で飲んだ酒
旨い酒を頂戴した。
もう七、八年は経とうか、京都の北のとある市でバイオマス発電を利用して市の活性化を図る構想の手伝いをしていたことがある。
厄介者の竹林を整備して出てきた廃材の竹を燃料として発電し、整備された竹林は世界遺産の一部となる。
地方都市にしては大きな構想が動き出していた。
今思うに行政が民力に頼り過ぎていた。
旗振り役の中にエキスパートがいなかった。
公の金を使う人間は自分で死ぬほどの思いをして無駄なく活きる使い道を考えねばなるまい。
多大な税金を使って出来あがっていた発電所はオモチャのようなものであった。
デモンストレーションであって、そこから更に成長発展するならばいいのだが、それだけで終わった。
ボンヤリした事しかここに書くわけにはいかないが、そんなことが当時勤めていた会社の人間もほとんど知らない中あった。
その時会費制で接待を受けた。
役人の接待は面白くない、飲んでも腹を割らない。
同席者は皆、バカのように酒が強かった。
腹一杯飲んだ酒は同席の皆の頭の中で要らぬ発電をさせカラカラと空回りして終わってしまった。
飲んでも飲んでもカラカラ回るだけであった。
残ったのは残骸と虚しさだけであった。
その時飲んだのが頂いたこの酒の酒造メーカーのものであった。
美味い酒だと思った。
美味い酒で二日酔いはしないのだが、あの宴の翌日は強烈な二日酔いだった。
酒に申し訳ない。
酒の一滴は血の一滴と学生時代先輩から教わった。
この酒は頂戴した方に感謝して大切に美味しくいただかねばならない。