母の万年筆
母がアルツハイマー病と診断されてから週に一枚の葉書を母の頭の体操になるかと思い書いています。
はじめの頃は普段通り万年筆で書いていました。
しかし、この葉書には万年筆のインクは向かないようでした。
本人の意思に反して濡らしてしまう事が多いのです。
それを知ってから母への葉書はボールペンに変わりました。
この万年筆は大学入学時に母からもらいました。
もとは父が海外で求めてきたものです。
兄が生まれてからずっと日記を書き続けてきた母への父からのプレゼントでした。
手入れを知らない母の万年筆は軸の中でインクが固まりいつしかカートリッジが使えなくなり、インク壺を傍らに置いての日記付けの作業でした。
もらってから、何度もお湯につけて蘇りました。
以来、40年近く年に一度引っ張り出して年賀状書きに使ってきました。
重くて持ち歩かねばならない私の普段使いには向かないのです。
今年はお休みさせておきます。
大切に使っていかねばならない一本です。