さらば肉まん
肉まんがずっと好きです。
私が物心ついた頃に今のような蒸し器とともに店の軒先に登場したと思います。
初めて食べた時のことを覚えています。
寒い冬に母が兄と私に買ってくれました。
ほかほかの肉まんです。
世の中にこんなに美味いものがあるんだと思いました。
当時一つ30円か50円だったように記憶しています。
それでも、なかなか母にねだることは出来ませんでした。
10円の小遣いをもらって駄菓子屋で5円でクジを引き、5円のアイスキャンデーをほうばりながら家路につけた時代でしたから。
今は肉まんはコンビニの時代ですね。
年々その進化は目に見え、舌も納得させます。
しかし、肉まんは寒い冬に凍えた両手で熱々をほうばるのが本来の美味しさを享受できるのかも知れません。
この暖かな冬は肉まん達には災難だったでしょう。
昨日もコンビニに寄ってカップコーヒーを求め機械でコーヒーを淹れていると肉まんのスチーマーが私の目に入ります。
そこには販売の限界時間を真近に控えたふやけた肉まんが3個悲しげに並んでいます。
あー、悲しき肉まん達よ、お前達は本来の目的を果たさずこのよの塵となっていく。
10年前のオレならばこのオレの胃袋に収めてやれるのに。
後ろ髪を引かれる思いで車に乗りました。
今では冷凍もあり年中スーパーで求める事が出来ます。
しかし、旬てものを大切にしたいです。
そろそろ『さらば肉まん』です。
コートが恋しくなる頃に、また会いましょう。