スタンディングみや(でした。)

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兼題『蟇』(ひきがえる)

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隔週で俳句投稿サイトの発表があります。

今回の季語『蟇』は夏の季語です。

『蛙』は春なんですよ、なかなか難しいです。

今回も『並』査定でした。

引き続き頑張ります。

 

以下は投稿で取り上げられた文章です。

 

兼題『蟇』

蟇はヒキガエルというより私にはガマガエルである。

ガマを見たことのない人は多いだろう。

まあまあの田舎で育った私は春先に冬眠明けであるだろうヨタヨタするガマガエルに遭遇する機会はあったものの、奴らの元気な梅雨時から夏場にはなかなかお目にかかることは無かった。

農業用水の支流の川でザリガニ釣りをしていると時折大きなポチャンという音が聞こえた。

ガマである。

私たちは奴らの仲間であるトノサマガエルを生贄にしてザリガニを釣っていた。

私はその大きさと醜さでガマガエルが怖かった。

殿様の仕返しに迫っているのではないかと怯えた。

しかし私の仲間にそんなデリケートな奴はいなかった。

なぜかポケットにマッチや串、味の素まで用意してきている奴らであった。

大人の目から隔絶された青いススキの塀の中でザリガニを焼いて食った。

小学校に入学したての私に理科室は未知の世界であった。

そこでいきなりガマガエルの標本作りの途中を見てしまったのだ。

白骨化したガマ、嗅いだことの無い異臭に誘われて一人さまよい込んだその先での遭遇であった。

上級生の理科クラブの仕業であったのだがそれがトラウマになっていた。

今思えば懐かしい思い出である。

多くの生き物とともに多くの命とともに成長させてもらった。

たくさんの訓練をさせてもらったと言った方がいいのかも知れない。

平成元年生まれの息子世代とも全く違う昭和の悪ガキ達の校外教師の一人が『蟇』だったのである。