サンドイッチとのひととき
サンドイッチは子供の頃から自分で作っていた。
病弱な兄は小学校を早退する事も多く私が帰宅すると先に帰って来ている事が多かったように憶えている。
そんな時はいつも一人で本を読んでいる兄貴だった。
必ず藁半紙に包まれた給食のパンを持って帰って来ていた。
当時の給食のパンである。
美味いはずがなかった。
当時私が給食をよく残したのは美味くなかったのが理由である。
パンは乾き気味でボソボソと口の中にへばり付いた。
だからパンは大嫌いであった。
そのパンを兄貴がもらって帰っている。
勿体なさと腹の減りすぎで作ったのはハムサンドである。
当時はまだスライスされたパッケージのハムなど存在しなかった。
肉屋で量り売りだったのだろう。
たまたま我が家に中元か歳暮で届いてた一本もののハムを、管理者である母のいないのを幸いに厚く切ってマヨネーズとともに挟んで兄貴と食べた。
滅多に食べることのないハムのサンドイッチ、ハムの方が厚いサンドイッチだった。
それからいろんなサンドイッチを食べた。
いろんな種類がある事も知った。
何でも好きな物を挟めばいいと知った。
忙しい時の冷蔵庫での残り物のサンドイッチもいい。
今日はハム、レタス、玉子、キュウリ。
パンだけはいつも少し美味しいのを用意しておきたい。
パンのスライスと茹で卵を潰すところまでは家内の仕事、その後は時間を見計らってキッチンに降りて私の仕事である。
家内制手工業でサンドイッチは出来上がる。
食べた後また午後の仕事に取り掛かる。
『ステイアットホーム』の始まる前から我が家の生活はそんなパターンである。