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兼題『野分』

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いつもの俳句投稿サイト、今回の兼題は『野分』でした。

野分は秋に吹く強い風です。

台風ばかりではありません。

子どもの頃、道のすべてが舗装されてはいませんでした。

雨上がりの朝、水たまりで遊びながら登校したものです。

風雨の強い朝に原っぱの草が風でなぎ倒され、雨に濡れていたのを記憶しています。

そんな時の風が『野分』なんですね。

 

取り上げてもらった私の文章です。

 

◆今週のオススメ「小随筆」
 お便りというよりは、超短い随筆の味わい。人生が見えてくる、 お人柄が見えてくる~♪

 

●高校の授業で、漢文と古文が好きであった。

漢文では唐詩が好きで、岩波文庫の『唐詩選』 をいつも持ち歩いていた。

杜甫の『春望』、 国破山河在城春草木深…… を一番気にいっていたかも知れない。

漢字の意味で探る作者の意図を時代背景とともに思いをはせ、 日本語なれどもその書き下し文の耳から入る音の美しさに惹かれた。

古文は『源氏物語』、桐壺の巻の『 野分立ちてにはかに肌寒き夕暮のほど』 だけを今でも記憶している。

古文の鈴木千恵子先生が『 のわきたつ』『のわきだつ』で意味が変わることを教えてくれた。

なんとも日本語の面白さを感じた一瞬だった。

古文の面白さを教えてくれて、 古文を好きにしてくれたのはこの鈴木千恵子先生だった。

ついでにこの鈴木先生を私は好きであった。

もちろん年上で人妻でもあった。

恋愛感情ではなく敬愛だったのかも知れない。

たくさんの先生と出会ったが私が心を動かすようなことを教えてく れた先生はいなかった。

この『野分』 で日本語に深く興味を持つようになっていったのである。

ここで野分と再会し、伊勢湾台風のことも思い出している。

私はまだこの世にいなかった。

生まれたばかりの兄を背負って飛びそうな自宅の引き戸を必死に押 さえたと母に聞いたことを思い出した。

最近当たり前のようにやって来る巨大台風、 今と住環境は違うものの一日で死者・ 行方不明者5千人超というのは不謹慎な比較ではあるがこの数か月 での新型コロナでの国内死亡者が千名程度であることを考えるとい かに強力な台風であったかがわかる。

しかし、それも『野分』、 桐壺の巻も『野分』である。

『白頭掻更短渾欲不勝簪』 白くなり薄くなった自分の頭を鏡で見ながら日本語の懐の深さをし みじみ感じている。

/宮島ひでき