古き良きもの
茨城にいる合気道の後輩が、茨城県真岡鉄道の写真を送ってくれた。
C11である。
サラリーマン時代の一時期、多くの鉄道マニアの集まる会社に在籍したが、私は鉄ちゃんではない。
しかし、この写真に、この写真の時代に郷愁を感じる。
子供の頃の記憶だからあやふやではあるが、母の実家に向かう東海道本線、東北本線、父の実家に向かう飯田線にも扇風機は回っていた。
昭和の終わりの頃の大阪環状線のクーラーの冷気をかき混ぜる扇風機ではない、クーラーなどは無い。
乗客がスイッチの入り切りをした。
白色と空色のスイッチが押せば反対側が飛び出てくる原始的なスイッチだった。
多くの乗降客の手垢にまみれうす汚れたスイッチは背の低い子供の私には手の届かない憧れのボタンであった。
座席は写真のような固定の向かい合わせのボックス席、真ん中に小さな据え付けのテーブルがありそのテーブルの下には、これまた子供達に憧れの瓶ジュース専用の栓抜きが付いていた。
新幹線をよく利用する。
時間と安全を買うつもりで自動車ではなく新幹線に乗るが、諸事情が許すならば鈍行列車の移動をしてみたいものである。
手動で開閉できる窓を少しだけ開けて吹き込む風に春を感じながら缶ビールを片手に駅弁をつつきたい。
今はもう出来なくなってしまったそんな贅沢な時間を過ごしたいものである。