スタンディングみや(でした。)

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コーヒーで思い出す

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コーヒーが好きです。

高校生の頃から豊橋でコーヒー豆を求め、自分でコーヒーを淹れていた。

昭和50年代、街の喫茶店はまだ存在していた。
20歳の年に東京への進学が決まり上京した。
高校を卒業してから働き出し、同年齢の連中より金回りのよかった私は、暇な時間に好きな本を持ち喫茶店でコーヒーを飲みながら時間を過ごすことが好きであった。
その頃現実逃避をしていた私にとって喫茶店はまだ見つかることのない出口に続く入口であったのかもしれない。

東京で住んだアパートのそばにもすぐに喫茶店を見つけた。
大阪出身のおばちゃんが一人でやっている小さな喫茶店だった。
その頃から自分なりの好みのコーヒーの味を覚え、やはり好きな本を持ち大学の行き帰りに一人で寄り、煙草を吸いながら一時間ほどの時間を過ごさせてもらった。
いつも一人の私は、お客さんがたくさん入って来れば席を立つこともあった。
それくらいその空間が好きで、大切にしたかった。
大学で合気道部に入った私は毎晩浴びるように酒を飲んでいた。
そんな私を心配しておばちゃんは二日酔いの私に大きなマグカップに味噌汁を用意してくれる事があった。
胃袋に沁みる美味い味噌汁だった。
カップにへばりついたワカメをスプーンではがしながらおばちゃんと会話した。
就職が決まり、生まれて初めて足を踏み入れる大阪の事を教えてもらった。
豊島区に居た私に親近感のあった都島区は『としまく』ではなく『みやこじまく』であることを教えてもらった。
気の良い人間が多いと教えてもらった。
それはおばちゃんとの付き合いでわかっていた。
会えば別れがある。
行けば必ずいるおばちゃんと、私の居場所は卒業と共に記憶の彼方に行ってしまった。
しかし、なお私の心に残るおばちゃんの喫茶店、コーヒーの香りばかりでない煙草やトーストの焼けた匂いやらがごったになった匂いの記憶とともに私の心に残る。
数少なくなってしまったコーヒーの美味い街の喫茶店、決して無くなって欲しくない。

 

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