対応する力
ご多聞に漏れることなく私の予定もことごとく変わっている。
その中で毎年この時期に定例にしてきた兄の定期検査入院も延期となった。
愛知の施設から静岡の病院まで連れて行く。
定期検診の兄の場合、最悪一年延びても支障は無いが、数少ないてんかん専門の国立病院で日本全国から患者さんは集まってくる。
緊急だったり、重篤だったりもする。
みなさんどうされるのか心配になる。
私は急に予定が変わることに特にストレスを感じない。
もともとはそれほど鈍感な男ではなかったのだが、ゼネコンで営業をしていた頃にある上司に鍛えられた。
まだ三十代に入ったばかりだった。
いろんな経緯でその部長の下に配属された。
まったく自分の時間のない三年間であった。
毎週初めに週間スケジュールを提出させられた。
その通り行動出来たことはほとんど無かった。
逆に私の予定にわざと違う予定をぶつけてくるようにも思えた。
自分の主張も口喧嘩もしたが、所詮初年兵と古参鬼軍曹である。
勝てるわけはなかった。
そのうち予定を立てるのは止めた。
しかし、それでストレスを無くすことの出来る相手ではなかった。
それから365日.24時間の営業が始まった。
その頃は会社に行くのが嫌で仕方がなかった。
不思議だが、いつしかそれが当たり前になり、その頃その部長とは離れた。
そして、京都営業所に配属替えになり、一人で行動するようになったのだがスタイルの変わらぬ営業を続けた。
その部長のお陰で急な事、予想しなかった出来事に適応することが出来るようになった。
夕方帰社すると、航空券を渡されて「今から札幌に飛んでくれ」と言われ二度終便で北海道に向かった。
阪神大震災の時には翌日会社に行くと「これから神戸に行ってこい」と言われたまま一ヶ月帰れなかった。
『備えあれば憂いなし』は当たり前のことで、備えることなく有事に直面してしまった時の対応する力は経験しか育ててくれないと思う。
そんな非常識なことやとんでもない有事ってのは滅多にないのだが、それが今回だと思う。
なってしまったことはどうしようもない。
前向きに捉えて自分の有事への対応する力、耐力をつけてもらえたと考えておいたらどうだろう。
こんな時は半分出来たら上出来だ。
50%出来たら十分なのである。