友よりの連絡
大学の同級生から連絡があった。
10年ぶりくらいだと思う。
学生時代の付き合いはほぼ体育会の連中か、合気道の関係ばかりの中、珍しく人文学部の友人である。
当時、私には悪い癖があり、どんなに酔っ払って帰っても必ず本を読んで寝ていた。
その晩は、彼に借りた三島由紀夫の『実感的スポーツ論』を開いた、そして珍しくもどしてその本を汚してしまった。
その本は返しそびれたまま、まだ借りっぱなしで私の書棚の片隅にある。
『元気にやっているか?』とのメールであった。
『元気にやってる。』と返信した。
卒業して34年、こんなもんである。
10年ほど前に出張でやって来た彼と新大阪駅近くの居酒屋で一杯やった。
何を話ししたのかも覚えてない。
友というのはそんなものかも知れない。
『元気か?』
『元気だ。』
男の付き合いはそんなもんでいいと思う。
ただ、この歳になると自身の健康、家族の健康、特に親のことが気になる。
気になってもう一度メールを送ると、親の認知症のことが返事にあった。
同じ年齢、似た悩みを抱えていた。
そのうち一杯やろうとメールは終わった。
そのうち必ず会うことだろう。
その時は、ほんのしばらく会わなかったように顔を合わせて話をして『それじゃあ、またな。』と別れるんだと思う。