猫とコーヒー
急に涼しくなりネコの行動が変わった。
冷たい玄関の土間から暖かな猫ベッドに収まっていた。
実は人間も一緒である。
買い置きのアイスコーヒーではなく、コーヒーでも淹れてみようかという気持ちになる。
まだ暑さのぶり返しはあるのだろうが、もう茹だるようなあの暑さは来年まで無いのだろう。
金木犀の匂いを嗅ぐ頃には本当の秋になっているだろう。
金木犀の匂いと気温の変化で私の心の何処かからもの悲しさが湧き出てくる。
なにかをやり残した時の後悔のような気持ちである。
ずっとあとを引くような気持ちではなく、匂いを嗅ぐその間だけだ。
秋はもの悲しい季節である。
でもこのもの悲しさが嫌いではない。
寒い冬に向かい行くこの季節が嫌いではない。
この時期にしか思い出せない事もある。
我が家のトラの前でコーヒーを飲みながら、四季のある日本に生まれてよかったと思っている。