疲れた頭で考える
日本海方面から発信された不透明感のある金銭の流れの問題が私の耳にまで入ってくる。
こんな話は本来ならばこの場でしたくはなかったが、テレビで一度見た代表取締役は企業の最高責任者としての顔ではなかった。
ほぼ地域独占企業であり、役所が行なっても不思議は無い事業である。
こんなデカい事業を行う事が出来れば群がり食い物にしたいと思う悪い奴は必ずいるだろう。
饅頭の包みの底に小判も入れよう。
しかし、みなし公務員のような立場の彼等は受け取るわけにはいかないはずであった。
世の中の常識や倫理観があれば受け取れるわけはなかっただろう。
私は建設業界しか知らない。
当時は今は無くなったと言われている『ネゴシエーション』があった。
私が担当するような小さな物件でも対象になる事があった。
いろんなパターンはあったが、
発注者が予算内で良い仕事をしてもらうために意中の業者に仕事が回るようにすることもあった。
『理屈』は通っていた
私は必要悪だと思った。
しかし、裏で金が動くような事は無かった。
しっかりした人間関係が構築されてこそなせることであった。
そしてその時、上司から教えられたのは『悪い事をやっている』と認識しろ、という事であった。
金が流れる流れないの問題ではない。
そんな事を疲れた頭で考えていた。
黒部ダムをやり抜いた太田垣士郎を尊敬している。
何人かの頭も心も優秀な友人もいる。
太田垣を含め彼等が可愛そうである。
事の真相はもっと明らかになるのであろう。
そして清廉潔白な明るい会社になってもらいたいものである。
しかし、このやり取りの中で一人くらいこれを固辞して辞めた男らしい男もいたのであろうか。
いたのであればその男と酒を飲みながら話をしてみたい。