スタンディングみや(でした。)

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夏野菜の行方

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しかしよく降るこの雨である。

たまたま私の近くに人吉市の方がいた。

見慣れた風景が濁流に呑まれてなすすべもない。

テレビの前で涙するしかなかった、とおっしゃっていた。

 

今起きている事をリアルタイムにそのまま報道する事は間違っていることではないだろうとは思うが、このスマートホンでも目に出来るそのまま伝わるリアルは私にはキツ過ぎる。

 

学生時代の一時期、ベトナム戦争に飛び込んでいった作家やカメラマンの手記や写真集を好んで手にした。

まだパソコンなど登場する前である。

 

そこには文章の合間から、一枚の写真から戦争の悲惨さ人間の愚かさ、人間の強さ、アホさ加減を感じることが出来た。

 

命がけで、実際に命を落とし、それでも現場に出向く人達の心の中も考えた。

 

でもこの先はそんな事をせずとも遠く離れた大阪で数百キロ離れた九州の風水害だってスマートホンで自在に見ることの出来る世の中になった。

そのまま伝わるリアルは何も想像をさせない。

何も考えさせない。

 

私には人吉市ご出身のおばちゃんの言葉が胸に響いた。

生まれ育った故郷が無くなり、山や川の姿は変わり、愛した人達が居なくなってしまった。

 

なんとなくこれでいいのだろうか、と疑問を持つ。

 

この夏野菜の写真を見てこの先どんな料理に変身するのかを想像する楽しみを奪われてしまうのにも似ているような気がする。