出掛けの出来事
暑い一日であった。
これからこんな日が毎日続くのかと思うとうんざりする。
しかしこれが延々と続く赤道直下にある日本国ではない、しばし耐えて秋の訪れを興じよう。
出掛けに向かいの奥さんが駆け寄ってきた。
私が出て来るのを待っていたようであった。
庭に鳥の死骸があって掴んでもらえないかと。
ようは触れないと言うのだ。
そこには成鳥になりかけの雀が濡れて息絶えていた。
まだ飛べないのに巣から飛び出てそのままになってしまったのだろう。
しかし、仕方ない今さらどうすることも出来ない。
公園に埋めると言うのでそれは止めるように言った,
子供が掘り返すかも知れないし、死因が事故ではなくウイルスだってこともある。
可哀そうな気がするが明日の普通ゴミで市に運んでいってもらうように諭した。
動物好きな優しい奥さんである。
人の命も雀の命も基本的には同じであろうと思う。
たまたま自宅の庭でコト切れた小動物を手厚く葬る。
自宅に来たのが何かの縁かも知れない。
でも、道端で転がっている雀と何が違うのであろうか。
テレビやパソコンのモニターのあちらとこちらの世界のようである。
『対岸の火事』の火の粉が舞って来て初めて気づく現実である。
そんな事がもう数ヶ月もの間続いているような気がするのは私だけではないと思う。