きんぴらな夜
時々食べたくなる『きんぴらゴボウ』、家庭によって刻み方も調理法も違い、それがおふくろの味になる。
以前ほどアクの強くないゴボウはアク抜きをする必要が無いと土井善晴先生が申されていた。
土も神経質になってタワシで真っ白になるまで擦り落とし続ける必要は無い。
それもまた味の一部となっていく。
卯ノ花の炒り煮と同様、決して主菜とはならない副菜のキンピラゴボウ、簡単な料理ではあるが考えていくと奥は深く、面白い。
ゴマはすり鉢で擦らずに潰している、風味が変わってくる。
ゴマを強く感じることが出来る。
砂糖は三温糖を使っている。
味だけではなく、出来上がりの照りが違うような気がする。
出来上がった時と、翌日と当然味は変わる。
冷蔵庫に常備したいきんぴらゴボウである。
秋の夜長に日本酒を一合だけ燗をつけ、小鉢のきんぴらゴボウをつつきあれこれ考えながら過ぎる時間を楽しむことのできるよい季節がやって来た。