夏の通天閣
最初に通天閣を見たのはいつだろうか?
生まれて初めての大阪へ赴任し、もちろん生まれて初めての動物園前駅で降りたのは昭和だった。
ジャンジャン横丁は今のような観光者向けの綺麗さの無い人間臭さの残る活気のある場所だった。
そして通天閣を真下から見上げた。
大阪に来た、と思った。
その頃毎晩浴びるように酒を飲んでいた。
学生時代は新宿歌舞伎町や池袋東口、そしてホームグランドの江古田で浴びるように飲んでいた。
その時持っていたエネルギーを昇華するために飲んでいたように思う。
毎日気を失うほどの稽古をしながらもまだまだエネルギーは湧き出ていたのである。
そのエネルギーの昇華を酒でしか出来なかったのである。
そして場所は大阪に移っても同じように昇華し続けたのである。
若さゆえの毎日であった。
机上の理論だけではどうにもならないのが人生だと思う。
たくさんの経験を机上の理論に加えるべきである。
そして自身の考えを持って生きるべきである。
大阪へ来て34年、まだ大阪の人間になったと思ってないし、周りからそう思われてもないように思う。
最近、大阪に来て良かったと思う。
大阪での経験によって今ある私の物事の考え方が、東京に残っていたらどうだったろうとも考えたことはあったが、それは全く無駄な想像なのである。
今生きているのが大阪だからである。