青い通天閣
青色の通天閣である。
以前はこんな色は無かったように思う。
この通天閣に大阪人はいろんな思いがあるのだろう。
私は大阪の人間ではない。
夜の通天閣を見るたびに不思議な思いがこみ上げる。
『大阪の人間じゃないのにな』といつも思うのである。
大阪で生活するようになって二十年以上過ぎる。
二十年もあれば誰しもいろんな事がある。
私にもいろんな事があった。
それで大阪が嫌いなのではない。
では好きかと聞かれたら考えてしまう。
いるのがとにかく不思議である。
両親、兄の事を考えると愛知にいたほうがよかったのかも知れない。
でもいるつもりは無かった。
じゃあ、東京にいたかったのか。
そうではない。
私の本当の居場所はどこなのであろう。
まだ彷徨うような気がする。
ひょっとしたら遊牧民が私の先祖かも知れない。
真冬に駅のベンチで寝るのも全く気にならなかった。