雨の朝
真っ赤な朝焼けを見た翌日は朝から雨だった。
サラリーマン時代、雨の日の朝は憂鬱だった。
スーツで革靴、傘をさしての通勤を考えるだけで天国の布団の中から抜け出すのは至難の業であった。
30年前、ゼネコンで営業部へ移ったばかりの時、上司に恐ろしい部長がいた。身体が大きく、いつも怒っていた。カラダに悪いんじゃないかと心配になるくらいいつも怒っていた。
その部長は雨の日が嫌だと言っていた。
足元が濡れるのが嫌だと言っていた。
少し痩せれば傘に身体が収まるのになぁといつも思っていたが、私と同じような心境だったのかも知れない。
責任感だけで毎日同じ時間に家を出て会社に向かっていたが、雨がその決心をくじくのである。
そして大風が吹いた。
自転車は倒れ、木々は折れそうなくらいしなり、身体を持っていかれそうである。
雨に風に私の心は動かされる。
少し早い春一番のような風、明日は冷えるのであろうか。
温かなスープを用意して今晩は眠ることにしよう。
明日は朝から身体を温めて一日を始動させよう。