マスクで思い出す
八尾駅のホームに立っている。
さすがにマスクをかけて無い人は少ない。
今の使い捨てのマスクの無かった頃のガーゼを重ねて作られたマスクを知る子どもたちは少ないだろう。
何度も洗濯して使っていた。
耳のゴムが伸びてもゴムを取り替えて使用を強制された。
母の取り替えたゴムはキツく、耳が痛かった。
そんな時代であった。
『仮面の忍者 赤影』ってのを私の世代では皆知っていると思う。
甲賀忍者という言葉を知り、忍者というものを認識した初めてのことだったと思う。
実写版の特撮も入ったテレビ番組だった。
原作は横山光輝。
『鉄人28号』、『魔法使いサリー』、『三国志』などと子どもの頃テレビアニメやマンガ本で楽しい時間を過ごした人も多いことと思う。
この実写版の赤影の登場人物はもちろん人間である。
仲間の白影、青影と共に『金目教』の悪者忍者達と戦うのである。
白影は大凧使いである。
大きな凧に乗って赤影を助ける。
その場面が子どもの私の目にもスタジオで固定された『凧』に赤影と白影が乗り、その髪は扇風機の風でなびいているのが分かり、ハラハラドキドキ感無く安心して見ていることが出来た。
青影は子どもの忍者、開いた右手親指を鼻の右穴にやり、開いた手の甲を相手に向けてそのまま180度開き『だいじょ〜ぶ!』と言うのだ。
これが小学校で流行った。
赤影の主題歌は今でも覚えている。
その中に♫きらりと光る涼しい目〜、
というフレーズがあり、これが涼しい目かと赤影の顔をまじまじと見たものである。
子どもの頃の記憶は鮮明である。
良い事も、嫌な事も鮮明に覚えている。
脳が柔らかだった事もあるだろう。
歳を重ねるにつれて脳に刻み付けなければならない事が増えるのが鮮明さを欠く原因の一つだろう。
子どもの頃、マスクを掛けるのが嫌であった。
風邪が流行るとかけさせられたように記憶する。
でもマスクでの思い出は希薄である。
出て来たのは赤影の仮面であった。
仮面とマスクは違うが、子どもの頃から思っていたのは人間の口から飛び出た飛沫とともに浮遊するウィルスは目から感染する事はないのかである。
であるならば目も覆うマスクが登場するのではないかと思っていた。
ならばボクは赤影の仮面がいいなとずっと思っていた。
私のリーディンググラスです。