見下ろした桜
毎年この時期に桜を見上げていろんなことを思い出す。
子どもの頃、母と兄と歩いた豊川市の『桜トンネル』、買ってもらったみたらし団子はコゲが美味いことを知った。
社会人になって生まれて初めて来たこの大阪で会社の花見をした。
京橋の東野田公園である。
ブルーシートから尻に伝わる地面の冷たさ、春の夜の冷たい空気を、楽しさと緊張感とともに憶えている。
今年はその桜を、毎年いろんな思いで見ていた桜をなんの感動も無くただ眺めていた。
そして今朝、桜への毎年の思いを上から見下ろしながら考えていた。
『見下ろす桜』考えれば、生まれて初めての眺めであった。
何があろうとも桜を眺めて気持ちを動かすくらいの気持ちの余裕は無ければ、と桜を見た。
今朝のこの桜、高き場所から見下ろした朝日を浴びた桜の花を事あるごとにこれから思い出すだろう。
来年は、この下で皆で楽しく酒を酌み交わす春となっていることを心から願う。