コーヒーとともに考える
大学時代に毎日寄る喫茶店があった。
コーヒー一杯が280円だったと思う。
学食で一番安いカレーが一杯120円、大盛りで150円だった。
大盛りカレーを毎日食べて、合気道の稽古をして、時間を見つけてその喫茶店『ペルー』に行った。
いつもほどよく空いているのと、関西出身の気さくなおばちゃんの優しさが心地良かった。
私に本当のコーヒーの味を教えてくれたのはこの『ペルー』だったと思う。
必ず一時間くらいて、新聞を斜め読みし、新しい週刊誌と漫画に目を通して170円だったと思うハイライトを吸って一人の時間を作っていた。
この頃からモノを考える時にコーヒーを傍らに置いた。
ニューコロナが浸透して個々の生活スタイルは変わった。
コーヒーとともに一人仕事をする場所や、心のオアシスとしていた場所を失ってしまった人がいるかも知れない。
しかし、未来永劫は無いのである。
時代に合わせて自分だけの仕事場所もオアシスも作ったらいい。
家庭で淹れるコーヒーもいい。
家族がいても、いなくても。
コンビニの100円コーヒーが美味くなった。
それを持って公園や車の中で飲むのもいい。
歳を取ろうとも、時代は変わろうとも、コーヒーととも毎日を過ごす日々は変わってない。
そんな不変な嗜好ってのは少ないかも知れない。
今の世でタバコを吸うのは肩身が狭いし、身体に悪い。
酒はさすがに昼から飲むのには気が引ける。
そばにあるコーヒーの香りに包まれて物事を考えるのが一番良さそうである。
正月休みに入った。
引越しをしたばかりで掃除に時間は取られない。
午後からは机に向かって一年を振り返り、お世話になった方々へ手紙を書こうと思っている。
もちろん、コーヒーをなみなみと注いだ家内の可愛らしいマグカップを傍らに置いてだ。