先を見通す力
電子版の日経、サブタイトルは『コロナ禍でオフィス改革広がる』とあった。
一等地に本社ビルを構える大手各社がリモートワークなどで働き方を変えざるを得なくなり、不要となった事務所を売却したり、遠隔地に移転したりしている。
国が旗をあげて進めようとしている『働き方改革』と趣旨は若干違うだろうがこのニューコロナで働き方改革は動き出している。
気になるのは、こんな状況下でどんなふうに営業をしているのだろうかである。
取引のある顧客でも年がら年中仕事が続くわけではないから仕事の途切れている期間の営業はしんどい、ましてや新規顧客への営業はどのようにしているのだろう。
たった今まで気にならなかったが、興味本位で気になってきた。
今から30年以上前、ゼネコンに入社して研修を受けた我々は全国の支店に送り出された。
その中で、どう考えても営業向きでは無い、たしか情報系の学部出身の男が地方の支店の営業部に配属された。
そこでその男は電話帳片手に片っ端らから電話をかけまくり新規顧客獲得に向けて営業をしていったと言う。
メールなども無い時代である。
少し時代が変わればそんな営業をする製造業やサービス業はあったが、当時もそんな営業は極めて少なかったと思う。
ましてやお堅い建設業でのそんな営業が許されるわけがなかった。
上司からエラく叱られたと連絡が来た。
今、その事を思い出す。
生まれて来るのがずいぶん早過ぎた男だったと。
現在を考えると確認したわけではないが、そんな営業しかしようがないのではなかろうか。
会って話す事が営業の基本としても『会ってはならない』が世の建前となっている。
たぶん東京支店の竹内さんがコッソリ教えてくれるだろう。
土俵際ギリギリで耐えながら死力を振り絞っている企業が多いなか、世の中の変遷に乗っかり『働き方改革』を進めて資産売却で手持ち資金を増やせる企業はいい。
ある意味運の良い悪いが企業の業績の上下を作っているようにも見える。
運を掴むのも実力だと、かつて上司に言われたがなんともやるせないコロナ禍である。
この先にはチャンスしかない、と考えるべきだと思う。
少しだけ前を見て走り続けるしかない。
今を踏ん張ればきっと明るい未来が待っている。
私が死ぬまでには今とはガラリと変わった世の中となっているだろうから。