ゴーヤと青空
沖縄返還が1972年、私は小学六年だった。
豊橋の小学校で日本に返還されるという意味が分からず、ずいぶん考えたのを思い出す。
自動車の右側通行が左へと変わるというのが妙に頭に残っている。
それから50年近く経ったがゴーヤがこれほどどこの家の食卓にも登るようになったのは最近ではないだろうか。
生でも食べることが出来て、調理の簡単さや栄養価の高さから人気の野菜だろう。
もっと早くからこの簡単に出来るゴーヤチャンプルが家庭料理のメニューに加わっていてもよかったように思う。
夏野菜の代表選手となった今、ゴーヤと言えば私の頭のなかは青空である。
行ったことの無い沖縄にいつか家内と行ってみたいと思っている。
市場に並んだ原色の魚をその場で選んで食べてみたい。
沖縄の青い空と青い海をこの目で見てみたい。
そして、日本で唯一戦場になってしまった沖縄で犠牲になられた多くの御魂に手を合わせ考えたい。
今ある私たちの幸せを考えたい。
実はゴーヤを調理しながらいつもそんなことを考える。
だから、私にとってゴーヤは適当に調理出来ない食材なのである。