ラジオの夜
家に何台かラジオを置いている。
テレビも嫌いではないのだが観だしたら縛られてしまい他のことが何も出来ない。
テレビに専念すればよいのだが貧乏性で何かを同時にしたかったり、時間の使い方が下手だったりする。
その点ラジオはナガラ族にはもってこいである。
机に向かう時、包丁を握る時は必ずラジオのスイッチが入っている。
流れるのはいつもNHK第1かFMである。
でもなんでもいいのかも知れない。
ほとんど脳にまで届いていないのである。
40代くらいまでは難しい書類に目を通していても、そばでの人の会話もラジオの内容も頭に入って来た。
老化とともにいつの間にそれは出来なくなり、今はただリズムとなっているのかも知れない。
癖と言ってもいいのかも知れない。
写真は母の部屋から持ってきたラジオである。
母も夜ラジオを聴いていた。
内職の手縫いをしながら夜遅くまでふすまの隙間から灯りとラジオの音を漏らしていた。
ラジオで思い出すのは昭和の風景である。
ネットのラジオは便利で音質も安定しているがこんな手動選局のラジオがいつまでも無くならないで欲しい。
珍しくそんなことを考えながらラジオを聴き、ラジオを眺めていた。