通天閣の悲哀
大阪府の医療非常事態宣言によって『通天閣』と『太陽の塔』が夜、赤く灯っている。
大阪の北と南に位置する代表選手としてその役を果たすのであるから、ある意味認知性の高い大阪府民に愛されている建造物と、よい意味で理解しなければいけないのだろう。
しかし、当人たちの気持ちはどうなのであろう。
決して楽しい気持ちではないだろう。
赤い灯のもとの飲み屋や串カツ屋は営業時間の短縮を求められて、人は閑散としているのだろう。
にぎやかに酔客が行き交かった往来は以前のそれとは違うであろう。
大阪の人間でない私にはキタよりミナミに大阪らしさを強く感じる。
『通天閣』のある新世界もその一部だと思っていた。
いつも活気があって、昼から酒を飲む人間を許容する雰囲気を持つ優しさを感じる街であった。
看板をおろしてしまう店も出て来ているが、この街だけは新しい価値観など持たないでいつまでも変わらずにいて欲しい。
そしてこの『通天閣』自体がニューコロナで発熱しているような『赤』から早く以前のような心優しくなるようなカラフルな色に戻って私たちに安心を与えてもらいたい。
稽古の帰りに赤くない通天閣を眺めながら考えた。