スタンディングみや(でした。)

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冬の青空とコーヒー

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故郷愛知県東三河の冬はいつも晴天である。

太平洋岸気候で雲一つない青空が続くのである。

寒いこの時期に渥美半島の太平洋側の表浜でよく釣りをした。

 

昼は海風を受けて、夜は山風に背中を押されるようにして投げ竿を握った。

若い頃だったからかあまり寒さは覚えていない。

それでも携行式のポットにコーヒーを詰めて持って行った。

当時のポットである、私が口にする時には熱さとはほど遠い温かさになっていた。

 

コーヒーは熱いモノと思っているが、今まで何度かこんな熱めの温くなったコーヒーを飲んだ。

 

息子が中学生で不登校を決め込んだ時もそうだった。

学校へ行き担任と会ったが同席した校長を上目がちに気遣わなければ話せない出来の悪いサラリーマンしかそこにはいなかった。

校長に聞けば通学しなくとも卒業は出来る、と言う。

じゃあ、と息子にはもう行かなくてもいいと言った。

 

息子と当時住んでた奈良県ダム湖まで行った。

ボートに乗り、何をするわけでもなく湖上を漂った。

風の無い冬の陽射しは暖かく優しかった。

二人でポットのコーヒーを回し飲みした。

 

息子も熱さとはほど遠い温かさのブラックのコーヒーを黙って飲んでいた。

今その頃のことを話しすることは無いが苦いコーヒーだったのであろうか。

 

コーヒーにさまざまな思い出がある。

コーヒーと一緒に生きてきた、いつもそばにコーヒーがあった。

不思議だけれどビールや酒でこんな思い出は無いのである。

 

歳を重ねるごとに思い出は増える。

もちろんいいことばかりじゃない。

嫌な思い出や辛い思い出のほうが多いだろう。

コーヒーという不思議な黒い透明の液体がすべて吸収してくれるのかも知れない。

コーヒーの力か、時間の力なのか分からないが、コーヒーとの思い出はどれも昇華されて嫌さも辛さも無くなっている。

そんなコーヒーはこれからも私と一緒に人生を歩いてくれることと思う。