スタンディングみや(でした。)

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兼題『寒海苔』

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大阪の寒さはひと段落、頬に当たる風は心地よい冷たさである。

そして週末には最高気温が15度まで上がるとのこと。

この温度差に油断していては風邪をひいてしまう。

ひけばこの時期、外も歩きにくい。

面倒くさいニューコロナである。

 

今回の俳句投稿サイトの兼題は『寒海苔』。

故郷の三河湾ではこの時期寒風の中、海苔の養殖用の竹竿が海面から顔を出して揺れている。

寒さを誇張する風景だった。

 

◆今週のオススメ「小随筆」
 お便りというよりは、超短い随筆の味わい。人生が見えてくる、お人柄が見えてくる~♪

●我が故郷愛知県東三河、山にも海にも近く環境に恵まれた土地で私は育った。

豊橋を起点とするJR飯田線南信州につながる山々の間を縫うようにして走る。

太平洋の波で洗われた白い砂浜の続く渥美半島の内側には穏やかな三河湾がある。 海苔の養殖が行われ、冷たい海風の吹く中での海苔取り作業はこの時期の風物詩だった。

 

豊川市と合併した宝飯郡御津町はその名の通り歴史があり、由緒もある土地である。 三河湾沿いの御津町には海苔屋さんが何軒もあり、海苔を養殖して板海苔を製造していた。

私の両親はいつも御津町まで海苔を買いに行っていた。 だから我が家では海苔と言えばブリキの缶にいつでもある真っ黒な板海苔で、小学校の修学旅行で伊勢の旅館の朝飯に出てきた袋入りの味付け海苔を初めて食べた時には感動した。

しかし海を食べるようで本当に美味いのは板海苔である。 味付け海苔ってのは、海苔の本来の味に自信の無い格下の海苔だとずっと思ってきた。

朝食に炊き立ての真っ白なご飯と私たちの口の大きさに合わせて切った板海苔が並んでいれば母の作る他のおかずがどんなに美味くなかろうと私と兄の口から文句が出るはずがなかった。

 

実は、この海苔ごはんで朝から両親が大喧嘩をしたことがある。

小皿の醤油に海苔をつけて熱々のご飯に載せてハフハフ食べたい海苔ごはん、海苔の醤油のついた面がごはん側か外向きかで朝から大論争となったのであった。つかみ合い寸前までいったように記憶する。

忙しい朝にそこまでなるには純粋に海苔の美味しい食べ方ばかりではなく、常日頃つもり積もった何かがあったのかも知れない。 子どもの私たちに分かりようのないことであった。 板海苔を食べる機会が少なくなってしまった昨今であるが、目にすれば湧き上がる両親の思い出である。

 

ニューコロナとは無縁のあの世はさぞかしいいところなんだろうと思う。 なぜならまだ両親が私の前に帰ってきた形跡は無いから。

毎朝仲良く海苔ごはんを食べていることと思う。/宮島ひでき